今回中島みゆきさんについて語ってみましょう。中島みゆきさんの歌にはいろいろなヒット曲がありますが、その中でも、「糸」という歌はじわりじわりと、聞く人たちのこころを捉えたという感じではないでしょうか。
目次
糸
糸は、92年10月7日に発表された通算20作目のオリジナルアルバム『EAST ASIA』に収録された楽曲です。1. EAST ASIA
1. やばい恋
2. 浅い眠り
3. 萩野原
5. 誕生
4. 此処じゃない何処かへ
5. 妹じゃあるまいし
6. 二隻の舟
そして最後は 糸です。
どれも名曲揃いで、糸は敢えてこの時代あまりクローズアップされていなかったとも言えます。
命の別名/糸(1998年)
しかし、糸は、その後、1998年「命の別名」のカップリング曲として選ばれることになります。収録された2曲は、いずれもTBS系テレビドラマ『聖者の行進』の主題歌に起用され、糸が話題になったのは、野島伸司氏の仕掛けがあったのかもしれません。
野島伸司氏と言えば、森田童子さんの歌も主題歌として話題になりましたよね。
住友生命のコマーシャルに使用されたというのも糸がヒットした背景にはありますが、一番の理由は、 2014年現在、のべ20組以上のアーティストによって相次いでカヴァー・ヴァージョンを歌うことになってたことです。
もっともカラオケで歌われた曲】
何が、多くの人たちに歌いたい気持ちを起こさせたのでしょうか。実際に、世代を問わず、もっともカラオケで歌われた曲の一つが『糸』とも言われています。しかし、糸がこうまで歌われることに対して、不思議な気持ちがない訳ではありません。
曲そのものが持つ親しみやすい
カラオケで、糸が多くの人たちに歌われる理由は、やっぱり歌いやすさに理由があるのではないでしょうか。世代を越えて愛される歌は、やっぱり判りやすい歌です。
ソフトでナチュラルな仕上げの曲なので、誰でもかんなり受け止めることができるでしょう。
普遍性
そして、糸に求めているのは、普遍性と言います。いま、恋愛をしている人たちも、求めているのは、普遍性です。カップルにとって、普遍性を実現することはなかなか難しいのかもしれませんが、糸において、安易に、普遍性について語ることができます。
カップルが、道に迷ったとき、糸を聞けば、何か思いあらためることもあるのではないでしょうか。
縦の糸はあなた 横の糸は私 織りなす布は いつか誰かを 暖めうるかもしれない
みなさんが、糸に対して、感銘を受けているは、『縦の糸はあなた 横の糸は私 織りなす布は いつか誰かを 暖めうるかもしれない』という歌詞でしょう。しかし、この歌詞にちょっと注目していただきたいのですが、 『』いつか誰かを 暖めうるかもしれない』と言っているだけであり、 『いつか誰かを 暖めうる』と断言している訳ではありません。
ですから、私達は、この歌詞を聞き、確定的なことに対して、安心感を持つということではなく、これから、私達は何をしなければならないかということを考えさせられることになります。
縦の糸はあなた 横の糸は私 織りなす布は いつか誰かを 暖めうるかもしれないけど、そうでない可能性もあり、ある程度恋愛の体験者たちは、実際には、人間関係の限界を自分たちそれぞれが見つけてあきらめてしまっているかもしれません。
でも、 そのような人たちも、糸を聞き今後に可能性を期待することができるのではないでしょうか。この歌詞はどのカップル、夫婦にも追い求めることができるテーマです。
仕合わせ
糸という歌詞は、幸せを求めている歌詞かと思えば、求めているのは、「仕合わせ」なのです。カラオケを歌っていると、『逢うべき糸に出逢えることを人は仕合わせと呼びます』という歌詞に、気付かされることもあるでしょう。
ここでも、理想のカップルが出会えたと言ってる訳ではありません。人生において、出会いがない場合もあるという悲観的考えがあります。
仕合わせは、『幸せ』ではなく、幸せは、『仕合わせ』より更に追求して、実現できるか、それでも出来ないかもしれないものです。
本気で生きていく過程で、みなさんは仕合わせとは出会うことができるかもしれないけど、幸せは更に高いレベルに存在して、ユートピア的になかなか実現できないものかもしれません。
希望は約束されたものではない
糸では、希望はあるけれど、約束されたものではないと歌っているのです。しかし、私達は、その事実を知れば、更に努力して追い求めてくことができます。
そのような意味では、糸の歌詞には、『実存主義的なニオイ』を感じます。 『縦の糸はあなた 横の糸は私 織りなす布は いつか誰かを 暖めうるかもしれない』という歌詞に、カップルたちは、だからいま離れない関係がしっかりキープできているという思いよりも、中島みゆきさんの歌に対して、不安感をこころの奥底に抱いたりします。
『不安』といえば、悲観的でありいいイメージはないのかもしれませんが、この不安こそ、カップルをより繋ぐ関係へと育ててくれる『』起爆剤』になるべきものではないでしょうか。